いにしえの釣具屋にて珍品と出会う

ナミボー

2011年10月11日 13:11

ある日、ある時、遠く離れた町を何気なく歩いていると

「おや?こんなところに釣具屋が。」

こんな古い住宅の立ち並ぶ閑静なところで、釣り具など買う人が

果たして何人居るのだろうか?

近づいてみると「Megabass」のポスターが貼ってある。

エサ釣り専門の釣具屋のようなたたずまいだが

ルアーも売っているようだ。

最近は釣りをしているよりも釣具屋にいる方が楽しかったりするので

少し立ち寄ってみることに。

中に入ると超狭い上に昭和のニオイがプンスカしている。

家の近所にあった古い駄菓子屋を思い出させる店構えだ。

店主がいないなぁと思っていると奥の方から

よっこらしょといった感じでバアさんが出てきた。

志村けん演ずる典型的なひとみバアさん風だ。

のろのろとした足取りで所定の位置に座る。

店の一角が畳敷きになっていて、そこだけが一段高い仕様になっているので

立っている客に対し、座っているバアさんが同じ目線になる仕組みだ。

ルアーはどこかと見渡すと

「こ・・・これは!」

ルアーが60×90センチ位の台紙に大量に貼り付けてある

「え?これどうやって買うの?ここからちぎっていいの?」

という驚きのシステムが採用されている。

ルアーを貼り付けてある台紙がザッと5〜6枚はある。

この形式は久々にみたぜ!

バナナと横浜に出張に行ったときに一緒に立ち寄った

西村釣り具店以来の再会だ。

見にくいこと夥しい上に、全部バス用ルアーみたいだ。

バスはやらないので詳しい事はわからないが

そこはかとなく古い様な気が・・・・。

せっかくだし、バアさんにも悪いので何か買おうと思うが

唯一欲しいなと思ったクリスタルミノーも

1260円とかなり高い。

これで昔60アップを立て続けに2本獲ったことがあるが

その時は中古屋で新品を200円で買ったのだ。

意を決してバアさんに

「あのー、海用のルアーありますか?」と訊ねてみる。

「はあ?ウニ用?」

やばい、案の定というか、ひとみバアさんみたいな答えが返ってきた。

「海!海で使うやつです!」と大きな声で言うと

「あー、海ねえ。亭主がやってまして、今いないんですわ。私ではよくわからんのですわ」

とこれまたやっぱり的な答えが返ってきた。

「あー、もしかしたらエサの上にあるあれがそうちゃいますか?」

と一角を指さすひとみバアさん。

見てみると「マルキュー」などの釣りエサコーナーの上に

大きなルアーが下がっている。

「お!こんなところに」と近づいてみると

ビッグベイトのルアーが並んでいる。

「それ、海用ちゃいますか?」とひとみバアさん。

ばあさんの中では 海=デカイルアー なのだろう。

むー、間違いとは言えなくもないが・・・・。

ヤバイ、買う物がねえ。

仕方ない、適当に安いバス用ルアーを買おうかと

思っていると、ひとみばあさんの膝の先に

見たこともないルアーが!

なんだ、あれは???

手に取ってみると・・・・懐かしい!





「伝染るんです」じゃねーか!

「あー、それこの前もお客さんが裸ン坊のを買っていきはりましたわ。
なんや面白いルアーが好きらしいんですわ。裸ン坊・・・うひゃひゃひゃ」

なぜか楽しそうなひとみバアさん。

カワウソ君とカブトムシの斎藤さんと

あと頭に包帯を巻いた学生服の少年の3種類がある。

多分裸ン坊とやらも「伝染るんです」のシリーズなのだろう。

値段を見ると特価1500円とある。

特価のくせにたけーぞ。

こんな使えないルアー・・・・・・これにしよう。

カワウソ購入決定。




後で調べてみると定価は3000円程したらしい。

これを3000円で買った人はいたのだろうか?





これで釣れるとしたら、その魚は相当なバカといわざるを得ない。

それ以前に購入した私も相当なバカといわざるを得ないだろう。

陰険なシーバスには全く使える気がしないので

来年の夏にはひとみバアさんとのやりとりを思い出しながら

小浦一文字で投げてみようと思う。



もはや来年の夏に思いを馳せる僕をクリックしたんせ。


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